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東日本大震災から早一年が経とうとしていた3月のはじめ、赤坂の中国料理レストランでソムリエの仕事をしていたご縁から、被災地である岩手県の食材生産加工業者さんやワイン、日本酒の生産者の方々と出会う好運と知己に恵まれました。

それまで震災で壊滅的と言われていた地域がどこにあるのかさえも深く知ろうとはせず、テレビから流れてくる地獄絵図のような映像に、どこか遠くの地で起こってしまった惨事として傍観しているだけの小さな自分がありました。

初めてでした・・・。大地震と津波で家屋を失い、職場を失い、町を失い、家族や友人知人を失った人たちの筆舌に尽くせぬ深い悲しみの「生の声」を聞くのは、初めてでした。
「どうして自分たちが、こんな目に遭わなければならないのか…」

胸の奥からえぐられる様な思いがしました。
こんなに身近に、深く傷つき辛く悲しい思いをしている人たちがいたのに、私はこの一年彼らの言葉に本当の意味で耳を傾けることをしなかった。私は彼らのために何ができたのだろう。
心から詫びました。自分が恥ずかしく情けなかった。

赤武酒造は、明治29年岩手県大槌町で創業された酒蔵です。大槌町と聞いて、「あれ?」と思われた方もいるかもしれません。津波の被害により、町長以下職員40名の尊い命が犠牲となったあの大槌町です。
この津波は赤武酒造の全てをものみ込みました。醸造所や事務所、醸造用の機械、貯蔵タンク・・・何もかも失いました。当時を振り返り、社長で杜氏の古舘秀峰氏は、「失望と 恐怖と不安の中、廃業も考えました。また新たな仕事を探すために職安にも行きました。」それでも多くの仲間やお客様の声に、今一度勇気を奮い立たせ、ゼロからやり直そうと赤武酒造の清酒「浜娘」復活のため再建を始めました。もちろんそれは、一朝一夕に成し遂げられることでありません。不屈の情熱と、負けじ魂で、今現在も妥協せず一歩一歩着実に進まれています。

私は古舘氏の言葉と情熱に、彼と一緒に仕事がしたい。微力でも何か役に立ちたいと思い、このたび赤武酒造の日本酒を弊社で販売させて頂くことになりました。

5月のはじめ現在の仮設事務所兼工場となっている岩手県盛岡市の赤武酒造に足を運びました。
「被災したことは事実だし、忘れてはならない。尤も忘れられるものではないけれど、我々がいつまでもそれを引きずっていてはいけないんです。前へ前へ進み、美味しいお酒をつくっていくしかないんです。」と古舘社長の熱い想いと、笑顔で懇談のひとときを過ごしました。
懐の大きな、人間味のある方でした。

私は、かねてよりソムリエとしてワインの仕事に携わって参りました。しかし「ソムリエだからワイン」という時代は終わりました。レストランで食事を愉しまれるお客様は、シチュエーションや気分に合わせて、ビール、焼酎、日本酒、紹興酒、ワイン、モルトと自在に変えられます。ソムリエももっとグローバルに柔軟に、多様なお酒や食文化と向き合う必要があるはずです。

私はソムリエとして、また一個人として、彩り華やかなワインとはまた異なる、淡い水墨画のような透明な液体の中にある、柔らかさや勢い、奥深さを感じるこの清酒「浜娘」を、生産者 古舘秀峰氏の熱い想いと共に多くの方に味わっていただきたいと願っております。今回は、この赤武酒造の商品から厳選して「浜娘 純米酒」と「浜娘 本醸造」をご進呈いたします。味わいに関するご感想や、新たにご注文を頂きたくご案内申し上げます。

皆さまにとって「浜娘」を呑む口実と愉しみが、また一つ増えることを期待して…。

2012年 盛夏
株式会社クレア シニアソムリエ
吉岡 喜代志


赤武酒造 盛岡工場にて